シャワートイレの水漏れ修理
我が家にはトイレが二つありますが両方とも水漏れが発生していました。まず2階のトイレで数か月前からポタポタ音が途切れない状態が続いていました。でもトイレ外部への漏れは無く急を要する訳でもないので修理をしないまま放置していました。そして1階のトイレですが、こちらは先週のこと、ウォシュレットのノズル部分からポタポタが始まり、ノズル洗浄を試してみても漏れが止まらなくなりました。2階のトイレよりも漏れの程度がひどかったため元栓を閉じ使用を中止しましたが、この状態をいつまでも続けることもできないので、思い切ってDIY修理に挑戦しました。
1.Google先生で下調べ
DIYで修理するには、トラブルの症状から原因を特定しその修理方法を知ることはもちろんですが、製品を分解する手順を知ることも大変重要です。そのため私はネットで同じような事例の検索からスタートしました。「シャワートイレ」、「水漏れ」、「修理」などのキーワードで検索すると、DIYで修理した人のブログが相当数見つかりました。詳細な手順まで写真を付けて説明している人、動画で修理状況を説明するケースなど親切なブログも多く、いつものDIYのように先人の後を追えば簡単に修理できると思えたのですが、今回は少し状況が違いました。確かに修理の記録は沢山あるのですが、いくらブログを読み漁っても我が家のトイレの型番に関する修理事例が見つかりません。と言うのは、我が家のトイレは約20年前に家を建てた時から使い続けてきたものなので、製品が古過ぎるようなのです。シャワートイレの耐用年数は約10年とメーカーも公表しているようで、20年物のトイレに関して見つかる情報は交換事例ばかりです。我が家のINAX社製一体型DT3870タイプは、既に廃番となった製品で部品の供給も無く、メーカーも修理を受け付けないため交換する以外に方法はない、便器&水洗タンク&シャワー便座が一体となった特別タイプの製品なので水洗タンクや便座だけの交換はできずトイレ全ての交換が必要となり取替え工事は20万円以上かかる、また場合によっては床材の張替えも必要などなど。
少し暗い気持ちになりながらも一方で、修理できず交換となれば20万円かかってしまう、ならば壊すつもりで何でもできるという思いも沸いてきました。トラブルの原因を突き止めたいという好奇心もあり、とりあえず製品を分解することにしました。
2.シャワーノズルの水漏れ
A. 症状と原因推定
日頃の使用頻度が高い1階のトイレから修理を開始しました。最初に行うことは症状からトラブル原因の推定です。症状はシャワーノズルから水漏れなので、供給水や電源を遮断して変化を観察してみました。
① 初期症状はシャワーノズルからの水漏れ
② おしり洗浄を作動 ⇒ 作動状況は正常
③ ビデ洗浄を作動⇒ 作動状況は正常
④ おしり・ビデ洗浄を停止 ⇒ 水漏れが始まり、初期症状と同じシャワーノズルからの水漏れ
⑤ 電源プラグを抜いてみる ⇒ 初期症状と同じシャワーノズルからの水漏れ
⑥ 続けて供給水の元栓を閉じる ⇒ 水漏れは止まる
⑦ 元栓を開けて水の供給再開 ⇒ 水漏れが始まり、初期症状と同じシャワーノズルからの水漏れ
この結果、水漏れの原因はシャワーノズルに至る経路のどこかで水を止める機能に問題があることが推定されました。
ではウォシュレットの仕組みはどうなっているのか? こちらはトイレの型番の新旧に係わらずだいたい同じ仕組みのようでネット検索ですぐに見つかりました。概ね下図のようになっていることがわかりました。
供給された水は、水洗タンクに向かう配管と分岐した後、電磁バルブ、減圧弁、タンク&ヒーター、切替調整弁を経由し、おしり・ビゼノズルに繋がっています。通常電磁バルブは閉じていて、シャワースイッチを入れるとバルブが開きノズルへ水が流れる仕組みです。切替調整弁はモーター駆動方式で、やはりおしり・ビゼのシャワースイッチにより切替作動します。
さて、症状の観察結果とウォシュレットの仕組みから考えると、最も怪しいのは電磁バルブの不良と言うことになります。
B. シャワートイレの分解
原因の推定ができたので、シャワートイレの分解に移ります。INAXの一体型シャワートイレの分解を扱った記事は見当たりませんでしたが、分解後の写真は何枚か見つかったので、概その予想はできました。手順は次の通りです。
① 給水の元栓をしっかり閉じる
② 電源プラグを抜く
③ タンクの蓋を取り外す
④ 水洗レバーを取り外す
我が家のトイレは便座から立ち上がると自動洗浄するタイプなので、水洗レバーにモーターが付いていて一般の取り外し方とは異なります。まず銀色のレバーを力ずくで引っ張り抜きます。そしてレバーの芯を固定しているストッパー(写真の水色の部品)を引き抜けば、レバーがフリーになります。ただしレバーにはモーター駆動用の配線が付いていますので力がかからないように注意が必要です。
⑤ 配線を外す
電気配線はタンクから分離された水のかからない部分に収まっています。2本のネジで蓋を外し、中にある配線コネクター2つを分離します。
⑤ タンクカバーと便座を一体で取り外す
一体となった水洗タンクカバーと便座を固定しているのは、カバー下部にある4箇所のネジです。化粧ネジカバーで隠れていますが、カバーの切れ目にマイナスドライバーを差し込んでカバーを外せば普通のネジです。4本のネジを緩めると、カバーと便座は一体で上部に引き抜けます。
C. 電磁バルブの取り外し
電磁バルブは本体左後方の給水配管に使がった部分にあります。ただし、ネジ位置が隠れていて電磁バルブのみを取り出すことができないので、減圧弁も一緒にユニットとして取り出します。
① ドレイン抜き
2つのドレインを緩めて配管にたまった水を抜きます。
② 給水ホースおよび洗浄タンクへの配管の取り外し
両方とも接続部はゴムパッキンを挟んでクリップリングで止めてあるので、レンチを使わなくても簡単に手で外せます。
③ 電磁バルブと減圧弁ユニットの取り外し
配線を外し、4本のネジを緩めれば取り外せます。
D. 電磁バルブの内部点検
電動バルブは4本のネジを外すと2つに分かれ内部点検できます。中心には先端にゴムパッキンが装着された直径5mmほどの金属の棒があります。また棒のない方の中心部には水が流れる小さな穴が出っ張っています。通常時は棒の先のゴムパッキンが穴を塞ぎ、シャワーが稼働する時は電磁石により中心の棒が上下に動いて水が流れる仕組みです。
良く点検してみると、棒の先のゴムパッキンは白く変色し、水穴の出っ張りとの接触により変形していることがわかります。つまりこのパッキンが劣化により止水が上手く出来ず、水漏れが起きていたことがわかりました。
E. 電磁バルブのゴムパッキンの交換
今回のトラブルの原因が特定できたので後は修理するだけです。と言っても直径5mm程度のこのようなゴムパッキンはありません。どうするか? まず金属の棒から古いゴムパッキンを針を使いながら取り出しましたが、あまりにも劣化が激しいく原型をとどめないほど崩れてしまいました。それでも大体の厚みがわかったのでこの取り出したパッキンを参考に自作することにしました。手持ちのゴムパッキンがあったので、これをカッターで切って金属棒の先に装着できるように丸く成形しました。本当は革細工に使う丸形ポンチで抜き取って、もっと良いパッキン代替品を作るべきなのかも知れませんが……
F. 組み戻しと試験運転
電磁バルブのパッキン交換が終われば分解時と逆の手順で組み戻します。電磁バルブと減圧弁ユニットの取り付け時には、洗浄タンクへの配管の他にシャワー用のタンクへの接続もありますので、接続部のゴムパッキンを傷つけないように注意します。
G. 試験運転
全てを組み戻し元栓を開けてみますが、シャワーノズルからの水漏れはありません。とりあえず電磁バルブの漏れは止まったようです。次に電源を入れてシャワーの試験運転を行いました。シャワーを止めてもノズルからの水漏れはありません。成功です。電磁バルブの作動は良好のようで、水漏れは修復できました。
3. 水洗タンクのゴムフロート交換
次に2階のトイレの水漏れです。外部への水漏れは無いもののポタポタ音が途切れない状況です。こちらもまず元栓を閉じて状況変化を確認してみましたが、外部からの水の供給が無くなってもポタポタ音は変化なく続いていました。このことから原因は簡単に特定できました。不良箇所は水タンクのゴムフロートの劣化です。洗浄レバーを動かすと、このゴムフロートが強制的に引っ張り上げられ排水弁から水が流れる仕組みですが、ゴムフロートが劣化して排水弁との間に隙間ができると水漏れが発生します。案の定ゴムフロートを手で触ると、墨で塗ったように真黒くなり、ゴムの劣化が確認できました。
このトラブルの修理は簡単です。新しいゴムフロートを交換するだけです。INAX製のトイレ用フロートは現在ではLIXIL製の純正品がホームセンターで手に入ります。直径55mmと65mmの2タイプしかありませんので大きささえ確認だけすればOKです。
水洗タンクの中が狭いのでゴムフロートの取り出しは思ったより手こずりましたが、作業自体はいたって簡単で5分程度で終了しました。
4. まとめ
一日で2つのトイレの修理を行いました。一つ目はウォシュレットをコントロールする電磁バルブのパッキン交換という比較的難度が高い修理です。こちらは少し腹を括らないと出来ないDIYかも知れません。もう一つはゴムフロート交換でこちらは仕組みを理解すれば誰でも簡単にできる修理です。久々にまともなDIYを行い、我が家に静かなトイレが戻ってきました。
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