紅葉の那須トレッキング

コロナ新規陽性者数が激減し緊急事態宣言が解除されてから、週末はどの観光地も人盛りで賑わっているというニュースを目にします。街頭インタビューで今したいことを尋ねられると多くの人が旅行と答えています。GoToキャンペーンのVer.2も検討されているとか。私の仕事のインバウンド回復までにはまだまだ時間がかかりそうですが、国内のリベンジ旅行は一か月も経たないうちに回復しそうな勢いですね。

私もどこかに出かけたい気持ちを抑えることができず、また秋本番ということで、先週思い切って那須にトレッキングに行ってきました。那須山は茶臼岳・朝日岳・三本槍岳など五つの山々の総称で、そのうちこれら三山が那須岳と呼ばれています。しかしもっと一般的には主峰の茶臼岳を指して那須岳と呼んでいます。標高は1915mですが、九合目までロープウェーで簡単にたどり着けるので手軽にトレッキングが楽しめます。この手軽さゆえに、紅葉シーズンは滅茶込みする山です。早朝から登山口の駐車場が満車になることでも有名です。今回は茶臼岳の裏側の姥ヶ平からの紅葉を堪能するためにゆったりとしたスケジュールで、また駐車場が満杯になる前に到着するために一泊二日とし、一日目は那須観光、二日目にトレッキングという計画を立てました。

一日目 那須観光

“ちばらぎ”から東北方面へ向かうには、外環経由で川口から東北道に向かうのが一般的で、那須まで200km、約2時間の行程です。しかし今回は一日目が那須観光のみで十分な時間があることから高速道路を使わず国道4号で向かいました。国道4号は宇都宮近辺のゴルフ場に行く時に何度も利用しており交通事情を良く知っている道路です。立体交差化や一部6車線化が進んでおり、通勤時間帯でなければ時速80㎞近くでスムーズに流れる道路で、経験上自宅から宇都宮までは2時間以内で着けます。また東北道は館林や佐野を通るため、浦和から西側に大きく迂回するように走っていますが、国道4号は春日部からほぼ一直線に宇都宮に向かっており、距離的には相当近くなります。結局、途中にしっかりとコーヒーブレークを取りながらも3時間少しで到着しました。

那須は軽井沢と並んで東京から気軽に行ける避暑地ですが、観光という点では那須街道を中心に点在している観光施設/レストラン/ショップを車で回ることになります。軽井沢銀座のようにお洒落なお店が連なる通りは無く歩いて観光できない点が難点です。観光牧場やサファリパークなどもあり、夏休みの親子連れにとっては最高の行楽地でしょうが。この日は平日なので特別に混んでいたわけではありませんが、お菓子の城や宮内庁ご用達のチーズケーキで有名なチーズガーデンはそれなりの人出で、緊急事態宣言明けを実感しました。ショップを数件のぞいた後、ペニーレーンで昼食のパンを買いました。こちらは有名なだけあって、駐車場は満車で入店待ちの行列ができていました。あいにくの天気なので店内テラスは空いていましたが、天気が良ければ木陰でゆっくり昼食ができそうで雰囲気は抜群です。

お昼前に着いたときは、曇りながらもなんとか天気が持っていましたが、ショップを見て回っているうちに雲が降りて来て、視界はほとんど無くなってしまいました。そのため観光名所の殺生石はご覧の通り。

また名湯鹿の湯も神秘的な佇まいでした。

那須高原道路にある恋人の聖地というロマンティックな展望台も視界なし。つつじ吊橋や駒止の滝も全く見えないという最悪な状況で、那須高原で一番高地にある大丸温泉の宿に早めに入りました。私が着いたときは宿も雲の中で目の前にある茶臼岳が全く見えませんでしたが、宿の人によると一時間ほど前までは視界は良好だったとのこと。トレッキング帰りのお客さんの話では、山の上は快晴で下界の雲海が大変美しかったとのことでした。山の天気は分からない、明日の快晴を期待して一日目を終えました。

二日目 茶臼岳登山

朝起きると風は強いものの快晴、昨日の天気が噓のようです。ロープウェーも山頂までくっきり見えます。

早めの朝食をとりロープウェー乗り場へと急ぎました。できればロープウェーの一つ先にある峠の茶屋駐車場まで行きたかったのですが、ロープウェー乗り場付近で既に上から戻ってくる車があり、峠の茶屋駐車場は満車のようでした。ロープウェー乗り場の駐車場も8時前でかなり埋まっており、その後も絶え間なく車がやって来たことを考えると8時半には駐車スペースが無くなったことと思います。
ロープウェーは待つことなく8時発に乗れました。朝早い時間は峠の茶屋からロープウェーを使わずにトレッキング開始する人が多いのでしょう。もっとも時刻表上は一応20分間隔の運転ですが、トップシーズンは10分間隔、つまり実質折り返し運転をしているようなので、少々客が増えても長時間待つことは無いようです。

ロープウェーは5分程度で、標高1390mの山麓駅から1684mの山頂駅まで運んでくれます。快晴で紅葉が美しく、一方で眼下には雲海が広がっていました。昨日の雲の中の那須高原の街も上から見るとこんな感じだったのでしょう。

山頂駅から5分程度歩くと、牛ヶ首方面への分かれ道があります。そこを真っすぐに登ってゆきます。登山道はあまり岩も無く、初心者でも問題ありません。

そんな道が20分ほど続いた後、山頂へ登る岩場になります。気を抜くと飛ばされそうになるぐらい風が強いものの、北風ではないので寒いということもありませんでした。進行右手には朝日岳と鬼面山の紅葉が楽しめました。岩場は15分ほど続き登頂です。1915mの山頂には那須岳神社の小さな祠もありました。

祠の裏手から那須岳の火口を一周し、登ってきた道を牛ヶ首への分岐まで下山して那須岳登山は終了です。

ここからは那須岳の裏手にある姥ヶ平への紅葉ハイキングです。分岐から牛ヶ首までは約15分。高低差もほとらかな道です。小学校の遠足の子供たちもにぎやかに歩いていました。

牛ヶ首から姥ヶ平までは下りです。最初は木が生えていない山道です。この辺りは明治14年の大噴火で植生が焼けてしまったようで、当時の名残の枯れ木も見られます。途中からは低木の間を通る山道です。幅が狭く、またトレッキング客が多いので、今回の行程で最も混雑した場所でした。

姥ヶ平は多くのグループが昼食をとっていました。紅葉は盛りを過ぎていましたが、それでもバックに噴煙を上げる茶臼岳を望む景色は一見の価値があります。

姥ヶ平で紅葉を楽しんだ後、牛ヶ首まで戻る道は登りです。ただ目前に茶臼岳と噴煙が迫って見え、あまり疲れを感じない登り道です。

牛ヶ首からロープウェー乗り場と反対側の道を通って、途中無間地獄を見ながら進みます。無間地獄は今も火山活動が活発な場所で、火山ガスを噴出しています。硫黄臭もあれば、近くの岩が硫黄色に染まっているのもわかります。この場所から姥ヶ平を望むと、明治の大噴火時にどのように溶岩が流れたのか、何となく想像できます。所々に巨岩も転がっています。

無間地獄から峰の茶屋避難小屋まではなだらかな下り道で15分程度です。途中、硫黄鉱山跡があります。今となっては跡形もありませんが、無間地獄を見た後なので硫黄鉱山は理解できます。

朝日岳へは峰の茶屋から向かいます。朝日岳に行く道は、もう少し本格的な登山道ですから余り登山者はいないようでした。次回は挑戦してみたいです。

峰の茶屋から峠の茶屋駐車場までは比較的広めの下り道で、40分ぐらいの道のりです。硫黄鉱山があった頃はきっと馬が硫黄を背中に乗せて通ったことでしょう。途中、朝日岳から鬼面山にかけての斜面の紅葉が緑(きっとクマザサ??)と対比されて美しかったです。

峠の茶屋からロープウェー駐車場までは5分程度で、無事にトレッキング終了しました。

その後、昨日は視界不良で見ることができなかった駒止の滝、展望台(恋人の聖地)、つつじ吊橋に立ち寄り、登山のご褒美に鹿の湯で浸かれた体を癒しました。

鹿の湯は昔ながらの湯治場で、その歴史は奈良時代とか。今使われている建物も明治時代の建物ということです。浴室内は2m四方程度の浴槽が6つあり、それぞれ41~48℃に温度管理されています。もちろん石鹸・シャンプは使用できません。私は42~43℃ぐらいが一番気持ちよかったです。47℃に挑戦しようと思いましたが、指を湯につけただけでギブアップしました。お客さんの中には水筒に冷水(?)を持ち込み、浴槽わきで休憩しては入浴を繰り返す、いわゆる湯治をされている方もいらっしゃいました。
お湯から上がると、湯川を跨ぐように作られている廊下でくつろぎながら冷たい飲み物を一気飲み。この廊下には今までTVの旅番組でロケに来た芸能人など有名人のサインが並べられていました。

鹿の湯には1時間ほど滞在し、帰路につきました。

トレッキングシューズに大問題

今回のトレッキングではシューズに大きな問題が発生しました。茶臼岳山頂付近で歩きにくいと思ったら、左のシューズの底のラバーが足先から半分近く剥がれて、舌のようになっていました。ラバーと靴本体が接着している部分は踵部分だけです。右側のシューズは足先と踵部分は接着しているものの、土踏まずの部分のラバーがやはり剥がれていました。いつも履いていたトレッキングシューズは昨年履きつぶし、その後コロナ禍であまり外出ができないので新品を買っていませんでした。今回はロープウェーを使い行程も簡単だったこともあり、下駄箱に眠っていた古いトレッキングシューズを使いましたが、元々それほど良いクオリティではなかったこともあり、ソールを固定する接着剤が劣化して剝がれてしまったようです。応急措置として手持ちの紐で足先部を縛り、靴紐を穴の上部の2つ分から紐を抜き、長めに余らせた靴紐を土踏まずの部分に縛り付け、とりあえず問題のない踵部分のラバーを剥がれないようにして、その後のトレッキングを続けました。幸いなことに、応急処置が最後まで持ってくれたので、大事にならずに済みましたが、正直、峠の茶屋まで戻って来た時にはホッとしました。

皆さん、山に登る時には足元にお金をかけて、信頼のあるシューズを使ってください。黄色のマークが目印のvibramソールがついているシューズは間違いないです。

最後に

那須は東京圏から近くアクセスしやすい場所です。日帰り登山をする人が多いようですが、一泊してのんびり温泉に浸かるのも良いです。コロナがなくなった(?)来年は、あと一週間早く、紅葉真っ盛りの時に那須岳三山登山に挑戦したいですね。

旅行

Posted by Sorato