愛嬌ぐんまと沼田市tengoo

思っていたとおり旅行促進の県民割制度は6月末まで延長されました。GoToトラベルを声高に推進できるようになるまで、ずっとこの県民割制度が継続するような気がします。GoToにしろ県民割にしろ、割引制度が当たり前になってくると、割引の無い定価での旅行は損だという気持ちになりますが、これは貧乏性のせいかもしれません。

さて私は県民割を利用して5月中に草津旅行を計画しましたが、予定と天気が上手く合わなかったので出かけることはできませんでした。しかし6月まで県民割が延長されたので、“損をすることなく”尾瀬に水芭蕉を見に行けそうです。早速計画を練ってみました。

尾瀬沼は群馬県と福島県の県境に位置していますが、水芭蕉が一面に咲き乱れて有名なあの風景は尾瀬沼ではなく尾瀬ヶ原という湿原です。ここに行くには幾つかのアプローチがありますが、最も一般的なのは、群馬県の片品村の尾瀬戸倉温泉から鳩待峠まで車で行き、そこから湿原へと降りてゆくコースです。尾瀬は水芭蕉の頃から観光のトップシーズンになり、一般車両は通行禁止のため、トレッキング客は戸倉温泉でシャトルバスに乗り換えて鳩待峠に向かいます。そして山道を小一時間歩けば尾瀬ヶ原に到着します。そこから先は“これぞ尾瀬”という景色を楽しみながら湿原の上に作られた木道を好きなだけ歩き、逆のルートで鳩待峠、戸倉温泉に戻ります。湿原で3時間ほど過ごすとして行き帰りの山道やシャトル移動の時間を併せると7時間程度は必要となります。尾瀬観光は日帰りでも可能で実際に日帰りバスツアーも沢山ありますが、湿原をゆっくり堪能しようと思えば、やはり一泊する方が無難のようです。

では、どこで一泊するか? シャトルの乗り場となっている戸倉温泉の民宿も選択肢ですが、片品村と沼田市を結ぶ街道は通称“ゆけむり街道”と呼ばれるほど温泉が沢山あります。戸倉温泉から車で30分沼田寄りには、有名な観光地の吹き割の滝があり、これまた有名な老神温泉もあります。

県民割で1万円以上の旅館に泊まると5000円のキャッシュバックが受けられることを考えると、エコノミーな民宿よりも少し格が高い老神温泉に泊まりたいと思い、色々と調べていくと大変面白いことがわかりました。
まず県民割は全国レベルの旅行振興策なので、どの宿に泊まっても割引が受けられます。群馬県は“愛嬌ぐんまプロジェクト”と呼び、一泊6600円以上だと3000円、一泊1万円以上だと5000円のキャッシュバックを受けることができます。しかし老神温泉に泊まると更にお得になることがわかりました。というのは戸倉温泉は片品村に位置していますが、一方で老神温泉は沼田市に位置しています。そして沼田市は市独自のtengooという電子マネーを使った地域振興があります。現在“愛嬌ぐんまプロジェクト x tengoo”という地域振興が実施され、“愛嬌ぐんまプロジェクト”を受けた人はtengooが3000円付与されます。しかもこのtengooは付与された瞬間から使用できるのでホテルのチェックアウトにも使うことができます。つまり県民割とtengooを合わせると、1万円以上の宿だと8000円、6600円以上の宿だと6000円の割引となります。

いくら観光振興策といっても割引率が高すぎるのではないかと思い、いくつかの旅館に電話をして確認しましたが、どうも私の理解は正しいようで、仮に6600円の宿に泊まると差額の600円と入湯税の150円でOKとの事でした。タダ同然で旅行できるようです。県民割は一般的になってきましたが、地域振興は、その地域の旅行を考える人など当事者でないとなかなかわかりません。でもしっかり調べればまだまだ“得く旅“ができるかもしれませんね。