梅雨前線が無いのに梅雨入り?

関東甲信越地方は一昨日に梅雨入りしたと気象庁が発表しました。九州地方より早く関東が梅雨入りするのは過去にも幾度かあったようですが、その時は関東甲信越と東海地方が同時だったようで、今年のように関東甲信地方が単独で本州で一番早く梅雨入りするのは極めて異例なことのようです。

確かにここ数日はぐずついた天気が続いていますが、これって本当に梅雨入りなの?って疑ってしまいたくなります。と言うのは天気図を見ると現在梅雨前線は台湾から沖縄あたりに停滞していて、本州付近では遥か南方にあります。私たちがよく知っている梅雨は、梅雨前線が本州南岸に停滞し、太平洋高気圧と大陸の高気圧のせめぎあいで前線が少し北上したり南下したりしながら、大雨をもたらしたり梅雨の晴れ間がでたり……  そして最終的に太平洋高気圧の勢力が勝って梅雨前線を北に追いやれば梅雨明けです。だから梅雨という季節に欠かせないものは停滞前線だと思うのですが。
この先の天気予報では関東地方は雨・曇りの天気が続きそうですが、九州や関西は来週まで比較的良い天気が見込まれ、梅雨前線が九州に近づくのは来週の中頃とか。だったら来週になって2~3日雨が続いたタイミングでの梅雨入り発表でも良かったように思えます。

では、なぜ関東甲信越地方が一昨日に梅雨入りしたのか? 当然雨がちな天気が続くことが予想されたからですが、では梅雨前線から離れているのになぜ雨が降るのか? これはオホーツク海に高気圧が居座って動かないからです。梅雨から夏にかけてこの高気圧が居座ると北東からの冷たい風、いわゆる“やませ”が流れ込み、農作物に冷害をおよぼします。上空に寒気が入るので当然天気は悪くなります。ムシムシとした暑苦しい梅雨時の合間の梅雨寒はこの“やませ”が原因ですが、今年は“やませ”による天気の崩れがそのまま梅雨入り発表につながったようです。
梅雨入りしたら翌日から晴れが続いた、と言うのはよくあることです。前線が停滞し雨が降ったので満を持して梅雨入り宣言したら、翌日に前線が南下してしまった時です。では今年はどうか。前線は無くても北の高気圧の居座りで雨がちな天気は続きそうです。だから天気予報的には梅雨入り発表は大正解かも知れません。そして当面は梅雨の蒸し暑さは無く、肌寒い雨が続きそうですね。