南岸低気圧とJPCZ

昨晩は雪の予報でしたが、数日前とは違って結局積雪はありませんでした。日付が変わるころに小雪が舞った程度で今朝は太陽が出ています。私は今回は積もるほどの雪は降らないと予想していました。理由は簡単で、昨日はそれ程寒さを感じなかったことです。もともと雲は簡単に言えば氷の塊で、それが地表に落ちてくるときに暖められて融けて雨になります。一方で暖められることなく落ちてくると、雪になったり雹になったりします。つまり雨か雪かは簡単に言えば寒気の強さ次第ということですね。

ここ数日間の天気予報でよく使われる言葉に”南岸低気圧”があります。文字通り日本列島の南岸を西から東に進む低気圧です。真冬の気圧配置は大陸に強い寒気を伴った高気圧が張り出し、日本の東が低気圧となる所謂“西高東低”が一般的で、この気圧配置がほとんど変わらないので日本海側が雪、そして関東平野は冬晴れが続きます。しかし2月になるとこの気圧配置が少しずつ崩れ、高気圧と低気圧が西から東へ周期的に移動するようになり、それに伴って雨が降ります。まだ寒い時季なので雨が降ると気温も上昇せず寒い一日となって好ましくないのですが、実はこれが春の始まりなのですね。
周期的に移動する低気圧が関東平野より北側を通過すれば、首都圏に降雨(雪)はありませんが、時折この低気圧がもっと南、つまり日本列島のすぐ南を通過します。低気圧ですから天気が崩れます。そしてこの時上空に寒気が入っていれば首都圏に雪が降ります。そして低気圧の発達度合いにより大雪になります。雪と言えば寒いイメージがありますが、この時期に首都圏に雪が降るのは周期的に気圧配置が変わっているということで、実は春がやって来ている証なのです。

今年の冬の天気予報でもう一つよく聞いた言葉に“JPCZ”があります。日本語では”日本海寒帯気団収束帯“と呼ばれます。日本海側に大雪を降らせる雲の発生に関連した気象現象ですが、特に12月や1月に琵琶湖周辺で大雪が降った時によく使われました。
日本海側に雪が降るのは、日本海の比較的暖かい暖流と大陸からの冷たい北西季節風により大量の水蒸気が日本列島に運ばれ、列島の中央部にある山々にぶつかって上昇して雪雲を発生させるためです。この説明は一般論として正しいのですが、詳細を見てみるとドカ雪の時など朝鮮半島から能登半島に向けての日本海上空に雪雲が連なって発生していることがあります。この雪雲の帯がJPCZです。大陸の寒気団から流れる北西季節風が朝鮮半島の北部にある白頭山周辺の3000m級の山々に行く手を遮られ、左右に分かれた後、再び日本海上空で合流することによってできる雲の帯です。気象用語では風が集まることを“収束”と呼びます。だから「日本海(で)寒帯気団(北西季節風が)収束(分かれた後再び合流する)帯」なんですね。 JPCZは一般的には馴染みのない気象の専門用語です。私は数年前に気象予報士の勉強をしたので知っていましたが、去年までのTVの天気予報で聞いたことがありません。各放送局が天気予報キャスターを充実させ、各々が独自色を出そうとしてやたらに専門用語を使うようになっているように思えます。尤も、知識欲が旺盛な一般視聴者にはありがたいのかも知れませんが…。そのうち国民全員が気象予報士になれるかもしれませんね。

天気

Posted by Sorato